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財産分与請求権と占有権原の関係

財産分与請求権が占有権原たりうるか?
婚姻中、共同で居住するための不動産を購入することがあると思います。
その後、離婚する場合、当該不動産の処理が問題となります。
多くの事例では、離婚協議における財産分与請求権の中で、議論し解決されることが多いと思います。

では、財産分与請求では解決されないとき、単独所有権を有する一方当事者から他方当事者への建物明渡請求権が行使された場合、財産分与請求権があることが占有権原足り得るでしょうか?
この点、東京地裁令和3年1月28日付判決は、
「財産分与請求権は、当事者の協議又は審判によって具体的内容が形成されるまでは、その範囲及び内容は不確定なものであり、分与対象財産の占有権原足り得ない。」としています。
この裁判例に従うと、財産分与請求権を有することは、直ちに占有権原足り得ないという判断になりそうです。

もっとも、別途、使用貸借を理由とする占有権原の主張はありうるところですので、当然明渡が認められるものではありません。

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